地球や惑星,衛星などの進化の本質とは,熱進化である.そして熱進化とは,天体が冷えていく歴史であり,その違いが天体間の豊かな個性を形づくっている.本講義は「天体の熱進化とレオロジー」をテーマとし,岩石や氷からなる太陽系の固体天体を主な対象として,その内部構造や熱的状態を推定する手段や,その状態を支配する素過程について理解することを目指す.特に,表面を氷に覆われた氷天体に焦点を当て,氷の力学的および熱的性質を理解して内部進化や地形形成の理解に繋げ,そこでの生命の生存可能性にも考察を拡げていく.講義の前半では太陽系に幅広く存在する氷天体を概観しつつ,内部構造の推定方法や現状理解を紹介する.後半では,内部の熱的状態を司るエネルギー論や物質のレオロジーについて解説し,地質学的な長い時間スケールにおける天体の内部進化の描像を定量的に理解することを目的とする.
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